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アイドル系男子大学生の横には彼とは違い地味な雰囲気の男子学生が少し呆れた様子でいた。
アイドル系男子学生よりもやや背の高く、眼鏡をかけ、緩めのパーマがかかったような癖がある髪は、目が少し隠れていて表情が読みにくい。
その読みにくさは、女子大生に少し怖さを感じさせているのを彼は知らないようだ。
二人の男子大学生を交互に見ていた女子大生は、バツが悪そうな顔でうつむいていた。
なんとか女子大生と目を合わせようと中性的な顔の男子大学生は下から女子大生の顔を覗き込むようにしようとしていた。
「ケイ、美人系が怒ると怖いから、とりあえずやめろ。あと、一人で突っ走るな」
ケイと呼ばれた中性的な顔の男子大学生は、不満そうな顔をしながら、女子大生の腕を離さずにもう一人の男子大学生に言う。
「いいじゃんかよ、凌。こうやって、目的の人にも出会えたんだし」
「怖いから、そのイケメン面で迫るな」
凌と呼ばれた眼鏡の男子大学生――白石凌は、ケイの肩に片手を置いて、なだめるように言う。
「とりあえず、グレーに連絡しろよ」
まだ女子大学生の腕をつかんだまま、ケイは凌に言う。
凌は諦めたようにため息を吐きながら、ジーパンの後ろポケットからスマホを取り出し『灰野』と表示された番号に電話をかける。その様子を横目にしながら、ケイは女子大生に訊く。
「どうして、俺たちから逃げたの?」
「だって、追っかけてきたし」
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