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通話を切ると凌は灰野と話したことをケイに伝える。ケイは峻希宛てにメッセージを入れる。すぐに峻希から返信が来る。
「デザイナーがモデルを探していて、峻希がそいつに俺たちの話をしたら、俺がぴったりだってさ」
「あいつの方がモデルっぽいのにな」
「それな。とりあえず、一度来て話でもってことらしいよ」
「危険な匂いがするな」
「でもさ、踏み込んだらもっと情報得られるかも」
前のめりになって話すケイは興味を隠しきれていない。ため息を小さく吐いて、凌はケイの額にデコピンをくらわす。
「いってぇ……」
「約束しただろう」
額を抑えながら、不満そうにケイは口を尖らす。
2人がこの仕事を始めるときに、2人は一つ約束をした。
少しでも危険なことが想定される場合は、速やかに依頼から手を引く。
この約束は、ケイ――凌が恵の身を守るためでもある。
灰野の依頼のほとんどが誰かを探すことか、誰かの情報を得ることに限られているが、それが身の危険がない仕事とは限らない。
仕事を始めてから数回二人が襲われたことがあったが、凌が何とか身を挺して恵を守った。擦り傷などの軽傷を負ったものの、日常生活に支障はなく灰野からも治療費をもらったが、今思い出しても恵がけがをしてたらと思うと凌は慎重にならざるを得ない。
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