5人が本棚に入れています
本棚に追加
5月下旬頃に、誘われていた食事に灰野に連れて行ってもらったときに、恵の男装の話をしたのがこの仕事のきっかけとなった。
灰野は恵の話に興味を持ったようで、恵を誘うように凌に頼んできた。
危険も付きまとうことが簡単に想像できるために、女性を巻き込むわけにはいかないと凌は渋っていた。
何度か灰野にせっつかれてようやく恵みを灰野に合わせたのは、梅雨真っただ中の6月だった。
恵は得意の男装も生かせるし、自分の将来の夢のためになるという理由ですぐに灰野の誘いを受けた。
仕事を始めて少し経った頃から、恵は男装術だけではなく、行動力にも優れ、SNS上の交友関係も広い。
それらの力を借りて、今日まで凌は恵と依頼をこなしてきた。
「当分仕事は入らなそう?」
「そうだな。さっきの時点で特に何も言われなかったし。今日は解散で良いだろう。俺は今から授業」
「おつかれ。俺は今から家に帰ってのんびりするわ」
手をひらひら振りながら、恵はのんびりと地下鉄の駅に向かって歩いて行った。
凌は後ろ姿からみても、恵はイケメンにしか見えないと再度認識した。
最初のコメントを投稿しよう!