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そんな毎日が続いていたある日。
「なんか最近調子悪いんだよねぇ」
「大丈夫なの? 引越してからずっと言ってるよね」
友人の智樹に相談すると、思ったより心配そうな顔をされた。
「まあなんて言うか運が悪い感じ、こないだもコンビニ行ったら携帯の電波なくって決済できなくてさ。慌てて財布探したりとか」
「あぁー、そんな感じするよね?」
「そんな感じって?」
「あ、うーん」
ただの愚痴なのに、なんだか智樹の返事の端切れが悪い。
「まあ続いたら対策考えよっか」
「対策? お祓いにいったりとか?」
「そんな感じかな?」
智樹は茶化すような感じでそういったけれど、なんだか妙に真面目そうで、余計に気になった。そうすると悪いことはなんだか続いた。でもこれってアレだと思う。気にしたらよけい気になるという奴。
例えば小銭が落ちてるのを何回か見つけたら俺ってラッキーな気がしてくるのと同じで、よくないことが目につくと俺ってアンラッキーって気がしてくるやつ。
だからまあ、ちょっとした不運は目についたけれど、実際にはそんなに気にしていなかった。俺はどっちかっていうと楽天的なので。
『失礼仕ったにゃ』
家で寛いでると、どげざねこが突然土下座した。
……俺、今そんなにイラついてたかな? とりたててハッピーな思考ではなかったような気はするけど。咄嗟の時の気分なんで、気にしてもいなかいからよくわからない。。
このどげざねこの影響も少し受けているのかなという気がする。どげざねこが謝ると、ひょっとしたらイラついていたのかな、という気分になって、実際ちょっとイラっとする。最近ちょっとこの『イラついてる』という状況の範囲がよくわからなくなっている気はしなくもない。
けれども俺はなんとなく、まあいいかと思ってエロ本を広げた。すっきりしない時はすっきりするに限るのだ。
『申し訳ござにゃぬ』
あの、賢者タイムのときにそれ言われると心がザワつくんですけど。
今は別にイラついてはなかったよな。少なくとも、それは自覚的にNOな気はする。むしろ放心していた。ひょっとしたらこのどげざねこは少し壊れているのだろうか。
こつこつ頭を叩いてみたけど、特に反応はなかった。どげざねこには土下座する以外の機能はない。残念なやつだ。
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