真崎君は牛乳が好き ～トーキョー高校生活２０２０・その１～

　感染症対策で、お昼は各自の机で食べる決まりだ。本当は、高校入ったら友達ときゃっきゃしながらお弁当食べるのを楽しみにしてたけど、また休校になるよりマシだから我慢。

　６月にようやく始まった高校生活。最近やっと、クラスのみんなのキャラが浸透したところ。

　隣の真崎君もお弁当と牛乳のパックを取り出す。飲み物、いっつも牛乳なんだよね。

　ストローをくわえた真崎君と、目が合った。

（そうだ！）

　思いついて、

「真崎君って、牛乳好きなんだね」

　目をそらされる前に、頑張って話しかけてみた。

「……好きっていうか」

　真崎君が、いつものように目を伏せながら、

「背、伸ばしたくて」

（――やったあ！）

　会話が遂に成立して、私は内心小躍りする。
　やっぱ、好きな物の話題にして正解！
　へえ。私と同じ１６６センチくらいありそうだけど、もっと欲しいんだね身長。

「そっかー。私も牛乳にしよっかな」

　そう言った途端、ドン、と真崎君が牛乳パックを机に置いた。