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アンザイさんは佐賀の実家に帰られたと聞いた。
そして、幼馴染みの素敵な旦那様と結婚したんだと。
そうかあ、アンザイさんは結婚相手も超速で決めていたんだなぁと、僕は思った。
そして、25年以上経って、夢に現れたアンザイさん。
こんな風に、アンザイさんのことを思い出していて、僕は、本当に忘れていた。
その後のアンザイさんに、最後のエピソードがあったことに気付いた。
今も、それが確かなことだったか、記憶違いではないかとさえ思いたい。
僕もその会社を辞めて、久しぶりのOB・OG同窓会の席。
アンザイのその後の運命について耳にしてしまった。
交通事故だったと。
止まっている車に、ダンプが突っ込んできたのだと。
酷い事故だったのに、アンザイさんの顔には傷一つなくて、本当にただ眠っているようだったと。
僕は、それを聞いた時に、すぐに記憶にフタをしたんだと思う。
アンザイさんが、夢に現れた理由は、そのフタを開けることだったのかな。
そう、アンザイさんは、超速だったけれど、アイスドールなんかじゃなかった。
真っ直ぐで、一生懸命で、集中して仕事をする喜びを知っていた人。
そして、実はとてもかわいらしい人。
いつものように話を途中まで聞いて処理した案件が、全然勘違いだったことがあった。
アンザイさんの透明な白い肌が、キレイにピンクに染まった。
恥ずかしそうな表情をしていたアンザイさん。
夢に現れてくださって、ありがとうございました。
魂が触れ合う時間は短くても、消えない縁ができるのですね。
来世でも、ご一緒に超速で仕事ができる日が来ますね。
あの日、仕事の喜びを知りました。
この世界でアンザイさんと逢えてよかったです。
もう忘れることは決してありません。
ほんとうに、ありがとうございました。
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