5人目 みよか伯母さん

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5人目 みよか伯母さん

小さい頃、親戚の家の離れで暮らしていたことがあった。 父が独立して店を始める時、店舗兼自宅ができるまでの間、お姉さんのお宅に間借りをしたのだ。 父のお姉さん、Miyoka伯母さん。 どんなに時が経ったとしても、 優しい“天使のような人” という言葉から、 Miyoka伯母さんのことが浮かんでくる。 Miyoka伯母さんの身体の周りはいつも白くボーッと光っていた。 それは優しさの光で、一緒にいるだけで僕まで心が穏やかになった。 小学校の低学年だった僕には、世界のほとんどが敵だった。 自分の中の1割くらいで、善なるもの正しいものを感得して自分を沿わせた方がいいと分かっていた。 残りの9割は、居心地の悪い世界に不満で、暴れたくて、力のない拳でも何かにぶつけずにはいられなかった。 ある時、 勝手に、伯父さんの倉庫に入りこんで、工具を引っ張り出した。 見つけたドリルを起動させ、田圃に穴を開けるように突っ込んだまま、放置して去った。 家に戻って、興奮していた、 一晩経つ間に、きっと、どデカイ穴ができる。 地球の裏側にだって、届くかもしれない。 もちろん、見つかって、バレた。 父に殴られ、母にもこっ酷く叱られた。 その時も、 Miyoka伯母さんは、優しい笑顔のまま。 最初から、全部ゆるしてるという表情で庇ってくれた。 “小さい子のしたことだから” 小さくてかすれたハスキーなMiyoka伯母さんの声。 その声でお願いをされると、誰も怒りの感情を保ち続けられなくなる。 Miyoka伯母さんの優しさは、 天性のもので、 さらに、運命への覚悟が、何もかもを受け入れさせたのだと思う。 僕が小学生のうちに、天国に戻ってしまった。 花に包まれて、眼を閉じていたMiyoka伯母さん 初めてのお見送りだったけれど、少しも怖くなかった。 もし、自分が天国にたどり着けたなら、Miyoka伯母さんに会いにいく。 一度もちゃんと話したことがないから。 お礼を言わなくては。 何もかもゆるしてくれる人の前では、 人は悪くなりきれないし、 ゆるされるだけの人にならなきゃと思うようになる。 Miyoka伯母さんは、いつもただ優しい笑顔を向けてくれていて、 それだけで、僕を光の方へ向かわせてくれた。 天使のMiyoka伯母さん ありがとうございました。
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