美しい人と虹の時間

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 さて、私の理想とする綺麗な人とは……。まずは髪が長いこと。ストレートでもパーマでも良いが、とにかくヒロインは髪が長くないと嫌だ。 そして目が大きく睫毛が長い。細いチェーンのネックレスをしている。白いふわっとしたロングスカートに白いサンダルを履いている。顎はすっとしていて、口角がキュッとあがっている……素敵なあのお姉さん。 そう、まさに理想の容姿を持った人が身近にいたのだ。それは週1回通っているピアノ教室でたまに見かける高校生のお姉さんだ。 姉と同じくらいの年なのに、顎で妹をこき使う姉と違い、そのお姉さんは大人っぽく優しい女性に見えた。       ピアノ教室はバスで二十分のところにあった。前は姉と一緒に通っていたのだが、姉が高校生になった昨年から一人で行くことになった。姉は部活終わりに学校から直接行かないと間に合わないからだ。 一人で乗るバスは緊張する。バスが遅れていたりすると尚更だ。時間に遅れそうでもバスは急いで猛スピードで走ってはくれない。バスに乗ったら乗ったで、席が空いていてうっかり座ってしまうと、お年よりが乗ってきた際、居たたまれなくなる。かといって『どうぞ』と言って立ち上がれない。『結構です』『私は年寄りじゃありません』と断られているのを見たことがある。
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