4317人が本棚に入れています
本棚に追加
「…風邪?」
「うーん。そうかも?
週末の肌寒い夜に、酔っ払っいに上着取られたのが原因かなー」
はっ…!!!
まさかこんな所で週末の話題をぶっ込んでくるとは!
ニヤリと口角を上げる篠宮は、絶対に確信犯!
「すみませんね…。ご迷惑をおかけしました」
「記憶あるんだ?」
「え?」
篠宮がじっと私を見つめる。
ヤ、ヤバい。
なんだか尋問されてるみたいな気持ちになる。
あると言えば"キスした事も覚えてる"って言ってるようなもんだし、ないと言えば完全に無かった事にできる!
どうすればいい?!
どうしたいの、私!
分かんない!
大 ピ ン チ !!
「いや、曖昧で」
ハハハと笑って誤魔化した。
ドギマギしている私とは逆に、篠宮は「ふーん」と涼し気な顔をしたまま、紙カップのコーヒーを飲む。
ズルいけど、最適な答えを導き出した気がするわ……。
今、これ以上突っ込まれても何も言えないし。
反応してこない篠宮にホッとして視線を送ると、いつになく真面目な顔をした彼と目が合った。
「俺は全部あるよ」
…………へ?
ど、ど………どういう事………?
そりゃそうでしょうよ、篠宮は酔ってなかったじゃん!
"俺は忘れてませんよ"って事?!
謎かけみたいな事言うの止めてよー!
さっきまでチャラチャラしてたのに、なんで急にそんな顔するのよーー!
どう反応すればいいのか分からず固まっていると、篠宮はコーヒーを飲み干し立ち上がる。
かと思えば、少し屈んで私の耳元へと顔を寄せた。
「あの日は可愛かったね、なっちゃん」
耳元でコソッと囁かれた。
なんとも甘ーい、女が落ちるような声で。
最初のコメントを投稿しよう!