胸が痛んでこそ恋

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担当者が順番に挨拶をして、打ち合わせに入る。 フワフワしている子かと思えば、ちゃんとアイデアも出してくれるし、GENICの商品知識もすごいし、作り手側としては嬉しくなってしまった。 コンテンツの内容や、撮影日時も決まり、少し時間はオーバーしたが、順調に打ち合わせを終えた。 「本日はありがとうございました」 「こちらこそ、楽しかったです」 「有村さん、また細かい事はご連絡します!」 めっちゃ嬉しそうな須田君…。 "公私混同するんじゃないでしょうね"と冷たい視線を送るが、彼には届かない。 「有村さん、下までお送りします」 「あ、すみません」 「それでは、僕達はここで失礼します」 須田君達、デジタルマーケティング部の担当者はペコリとお辞儀をして、歩き出した私達を見送る。 「ごめんなさい、有村さん。 時間が予定より少し長くなってしまって…」 「いえいえ、こちらこそ。楽しくて色々と喋りまくってすみません」 「この後、ご予定などあったんじゃないですか?」 杏璃ちゃんと3人で歩きながら、時間が押してしまった事を詫びる。 「予定ってほどではないんですが、都合が合えばって感じで…」 ウフフと嬉しそうな有村さん。 あぁ、これからデートなのかな? 残念だったね、須田君。 有村さんがニコッと笑ってこっちを向いたから、"はい?"と応えるように笑顔で首を傾げた。 「篠宮壱哉君は、どこの部署なんですか?」 ……………え? 笑顔のまま、固まる私。
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