胸が痛んでこそ恋

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篠宮……? 篠宮って言ったよね、今? まさか、この子とも関係が………? フリーズする私に代わって杏璃ちゃんが「篠宮は企画販売第3課ですが、お知り合いですか?」と問いかける。 「お友達なんです!」 「お友達…」 いろんながいますよね? とは、さすがに聞けなかったが、同じことを思ったであろう杏璃ちゃんと顔を見合わせる。 「フィールに仕事で行く事を連絡したら、都合が合えば会おうって話になったんですけど、忙しいでしょうかね…?」 ウルウルとした大きな目で有村さんに訴えられる。 はっ!!そうですか! 篠宮はこういう男なのよ! 私には特に何の音沙汰もないけれど、有村さんとは連絡取り合って会う約束してたんだ。 なーにが「こないだは可愛かったね」よ! 弄ばれたみたいで、ムカつく! 「私から篠宮に連絡してみましょうか?」 ハハハと笑いながらも、引きつる顔。 漫画で表すなら、今の私の額には怒りマークがついてるわ。 「本当ですか?!忙しくないのかなぁ」 「とりあえず、聞いてみますね」 有村さんは「ありがとうございます」とキャピキャピはしゃいでる。 ……来るもの拒まずだと篠宮本人が言っていた。 じゃあ、この子とどういう関係なんだろう。 有村さんは、明らかに好意を持ってるようだけど。 いや、関係ないじゃない。 私には関係ないのに、無駄にイライラしながらスマホを取り出すと、篠宮の番号をタッチする。 初めて篠宮に電話する事に、こんな時なのにドキドキしてる自分が悔しい。
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