胸が痛んでこそ恋

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『もしもし』 数コール後、聞き慣れたはずの篠宮の声が耳元で聞こえるも、機械越しだと少し違うように感じる。 「及川です」 『どーした?』 業務中に携帯に電話なんてしたから、驚いたのか真面目な声になってる。 「有村優希さんがお見えで、会いたいそうなんですが出てこれます?」 『あー…』 低い声がした後、少しの沈黙。 そうよね、バツが悪いよね? 微妙な関係の私と、どんな関係かは不明だけど、明らかに好意を持ってる有村さんが一緒にいるんだから! 『じゃあ、社内カフェに案内しといて。 よろしく』 プチッ。 ツーツーツー。 ……………は? 淡々と言われると、アッサリ電話を切られた。 あぁ、そう…。 そうですか。 バツが悪いなんて、私の思い上がりだった…。 「時間空けるそうなので、社内カフェにご案内しますね」 小さなショックを満面の笑みで隠して、有村さんに伝える。 「良かったー! 及川さん、野瀬さん、お忙しい所すみません」 「いえいえ〜」 ウフフと笑顔を貼り付けるも、心はもちろん穏やかではない。 何がよろしくよ!! 篠宮のヤツ!腹立つわー!
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