4317人が本棚に入れています
本棚に追加
社内カフェでイチャイチャしてたのなら、噂なんて瞬く間に広がる。
「篠宮さんの事聞いた?」
「有村優希とつき合ってるんだっけ?」
「そこはただの噂だけどさ!
こないだフィールに有村優希が来てたみたいで!すごくラブラブだったらしいよ」
「篠宮さんもついに落ち着くのかなー。なんだかショック」
「篠宮さんなら遊ばれてもいい!思い出にする!」
ガタッ──。
耐え切れなくなって、立ち上がる。
打ち合わせが長引いて、少し遅れて社内食堂で昼食を取っていた私の背後で、耳障りな話題がずっと繰り広げられている。
まだ休憩時間は残っているけど、ここにいるのはメンタルがやられそうで、逃げ出すように食堂を出た。
…ったく!
なんで篠宮のせいで、私の休憩時間を台無しにしなくちゃなんないのよ!
スマートに「お疲れ様です」なんて、廊下を笑顔で歩きながらも内心はイライラが止まらない。
かと思えば、先日の有村さんと篠宮の姿が浮かんでチクリと胸が痛む。
あー、やだやだ。
篠宮は至って"通常運転"なんだから、私が振り回されちゃいけないだけ!
悶々とした気持ちを抱えながら、久しぶりに屋上の扉を開けると、太陽の容赦ない日差しに思わず手をかざした。
一瞬、目くらましにあったような感覚になりながらも、遮る指の隙間から見えた人物のせいで鼓動が早くなる。
少しだけ、期待していたような。
会いたくなかったような。
篠宮が転落防止柵に持たれかけて、タバコを吸っていた。
……………ん?
最初のコメントを投稿しよう!