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「……なんとなく、外の空気を吸いたくて」
そんな気持ちは胸に隠したまま、またワインを一口飲んだ。
「紫外線のシャワーを浴びるのに勇者だな」
「紫外線対策はいつでもバッチリです。
というか、なんでその時に聞かなかったのよ」
「タバコを見られた事に動揺してまして」
「中学生か」
いつものように篠宮がバカな事を言うから、つい声を出して笑ってしまう。
あぁ、やっぱりこうだよね。
私の選択は、間違っていない。
こうやって些細な事で笑っていられるような、楽しいだけの関係でいたいと思う。
2人でしょうもない話をしながら、お酒を飲んで、笑って。
篠宮と過ごすこの時間は、いつだって悪くないと思っていた。
「タバコは百害あって一利なしだよ」
「アハハ、真面目な及川さんらしい発言」
「心配してるのに!」
「いーの、いーの。俺、今死んでも心残りないから。全力で生きてますんで」
そういう問題ではないんだけど、スマートに見えてがむしゃらな篠宮らしいなー、なんて横顔を見ていると、「あっ」と言って宙を見る。
「やっぱり、嘘」
「何が?」
「一つ心残りがあるから、健康に気をつけないとね」
ニコッと、また無駄に可愛い笑顔でこっちを見る。
「そうだよ!ファッションブランドに戻りたいんでしょ!」
「え、あぁ…」
「新ブランドを作るって噂あるよね!
何か聞いてないの?」
「……お前って、意外と鈍感だよな」
「は?」
篠宮の夢を応援しているのに、何故か馬鹿にされたから目を細めると、篠宮がクッと笑う。
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