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同僚で、同期で。
女癖が悪くて、何を考えているのか分からなくて。
だけど、努力家で優しくて、一緒にいると心地良くて。
どうするの、私。
頭で考えようとするのに、息つぎが出来ないほどのキスに思考はうまく回らない。
あの夜のような触れるだけのキスじゃなくて、深い深いキスに、篠宮も私の事を求めていたんじゃないかと錯覚しそうになる。
物音ひとつしない、照明すらつけていない部屋の中。
篠宮のポケットから、低い振動音が響いている。
「…っ。篠宮、電話…」
「出なくていい」
何も言うなよ──。
そう言いたげに、ぐっと私の顎に手を掛けると、少し強引に唇を塞ぐ。
崩れる。
私達の関係が崩れる。
だけど、それでも一緒にいたいという気持ちが勝ってしまった。
あんなに気持ちを抑えてきたのに、今溢れだす気持ちを止める方法が分からない。
響いていた振動音は、いつの間にか消えていた。
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