私だけを見て

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結局もう1回致してしまって、そのまままた寝て、目が覚めたら昼になっていた。 気怠さを引きずりながら、まだ寝てる篠宮を刺激しないようそーっとベッドを抜け出し、バスルームへと向かった。 シャワーを浴びながら、昨晩からの色んな出来事を思い返してみるが、どれもこれもむず痒くなるばかり。 ……元はと言えば、誘ったのは私。 いや、ほんと。 よく言えたもんだわ。 人間必死になると、プライドとか、体裁とか、なりふり構ってられない。 篠宮が有村さんの所へ行ってしまうと思うと、どうしても感情を制御できなかった。 ──いい加減、どうにもならなくなるまで我慢する癖やめたら? 篠宮に言われた言葉がふっと浮かんで、苦笑いしながら、シャワーの蛇口を止めた。 鏡に映るのは、仮面を外したすっぴんの私。 自分の気持ちを否定してきたけれど、好きだという気持ちを認めたら思いのほか楽になった。 私にとって、気持ちを隠す事はある意味楽で、さらけ出す方が勇気がいる事だったりする。 髪の毛を拭きながら寝室へ戻ると、まだ篠宮は爆睡中で、とんとんと肩を叩いてみる。 「……篠宮?」 「……」 「起きてー」 全く起きない。 起こさない方がいいのかな? とも思いながらも、もう昼になっちゃったし、この人今日は何も予定ないんだろうか。 「篠宮」 「………」 「おーい。壱哉くーん」 遠慮がちに篠宮の体を揺らすと、うっすら目を開ける。
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