私だけを見て

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篠宮がシャワーを浴びてる間に、とりあえず昼ご飯だか朝ご飯だか分からないが、簡単におにぎりと味噌汁と玉子焼きを作る。 あんまり食べたくなさそうだったけど、まぁ…これくらいだったら食べれるだろう。 「いい匂いがする」 篠宮が濡れた髪の毛をタオルで拭きながら、リビングに入って来る。 貸してあげられる服も無いから、昨日のシャツのままだけど、またそれが一夜を共にした事を物語ってるよね。 「食べれる?」 「うん。ありがと」 二人用の小さなダイニングテーブルに、篠宮が座る。 聡君と別れてから、ずっと一人だったから、部屋で誰かと食事をする事に胸がほわっと温かくなる。 「料理できるんだ」 「これを料理と言っていいのかってレベルだけどね」 篠宮は私の返しにハハッと笑うと「立派な料理だろ。いただきます」と言って、味噌汁をすする。 「飲んだ次の日には味噌汁だよな」 「分かる」 「うまい」 サラッと嬉しい事を言ってくれるものだから、私の顔も緩む。 ……いつも、こんな感じなんだろうか。 関係を持った後は。 今までと変わらない所もあれば、甘い空気も作る。 そりゃ、誰だって篠宮に落ちて抜け出せなくなるよ。 例えあんたにその気がなくても。 「何?」 「ううん」 昨夜の事を聞いて「お前が誘ったからだろ」とか「別に意味ねーよ」とか言われたら…と思うと、ちょっと怖くて聞けなかった。
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