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「でも結局、自分を守っちゃった。
傷ついた時に言い訳が欲しくて……」
「まぁまぁ。気持ちは分かるよ」
文香っていつもこうしてダメな私に寄り添ってくれる。
強がりな私にとって、それがどれほど大きな事か。
正論だけを言う人ならば、きっと私は弱音なんて吐けなかったと思う。
「篠宮は菜月の淋しさを埋める為だと思ってるんでしょ?」
「うん。そう言ったから。
篠宮の固まった顔を見たら、怖くて言えなかったの」
あぁ、臆病だなぁ。私。
一線を越えたくせに、恋人という一線が不安定すぎて越えられない。
「篠宮が私をどう思ってるのか、確信が欲しい……」
溜息をつきながらアンチョビポテトをつまむと、文香の何か言いたげな視線に気づいて顔を上げる。
「いいじゃん、別に。
好きだって言っちゃいなよ」
「ちょっと、ちょっと!
何その軽すぎるノリ!」
"YOU、やっちゃいなよ"とばかりに、あまりにも文香がケロッと言うから、唖然としてしまう。
「さっき気持ち分かるって言ったよね?!」
「うん。
でも篠宮の気持ちなんかいくら考えても私達には分からないじゃん」
「まぁ…そうなんだけどさ」
「だからそんな答えのない事を考えるより、菜月の気持ちを大切にしてほしいんだよね」
へ?
目が合うと、文香はふんわりと笑った。
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