私だけを見て

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篠宮がもし私の事を好きだったら、篠宮から伝えてくれたら楽なのに…なんて思ってしまう私は、本当にプライドだけは高くて。 だけど裏を返せば、自信がないから。 私はずっと、自分に自信が持てないまま、臆病故に"平気"とか"気にしてない"って、自分を大きく見せては、予防線を張ってしまう。 「関谷さんにも同じような事言われた…」 「え!関谷さんは何て?」 「20代でチヤホヤされた女は、30代になってもプライドだけは高くて、自分からは告白できないって…」 「あっはっは!女帝語録でたー!」 関谷さんとのやり取りを話すと、お腹を抱えてケラケラ笑われた。 「女帝の言うとおりだよ。 待ってるだけじゃ、欲しいものは掴めないんだよ?」 文香が両手をグーにして、ってポーズをする。 「篠宮が別の女の所へ行ってもいいの?」 「……嫌」 「だよね。好きだって言って、私だけを見て!って言って来な!」 口に出さなければ、失敗もしないし、傷つかない。 一見自分が守られたように思えるけど、何も行動しないという事は、何も得られないんだ。 ──恋愛でも、仕事でも、何も気付けなくて、変われなかったら同じ事の繰り返し。 あの夜、篠宮に言われて、次の恋愛は同じ事をしないって決めたじゃない。 心なんて見えないんだから、言葉にしないと伝わらないって事を、私は気づいてるんだから。
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