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『いよいよ明日だね。頑張って』
夜。
文香からガッツポーズのスタンプと共にメッセージが送られてくる。
『緊張する。フラレたら慰めてね』
『なんでも聞くよ!
でも、見込みない人にこの先入れこむより、ハッキリさせた方が良くない?』
『確かに』
『私達も三十路を過ぎたんだし』
ベッドに転がりながら、文香とメッセージのやり取りをする。
まぁ、そうだよね。
いつまでも時間がある訳ではない。
特別結婚願望が強いわけでもないけれど、報われない恋はしたくない。
『いい記念日になる事を祈ってるよ。
私も後日お祝いするから!』
文香のメッセージを見て、フフッと笑って『ありがとう』とメッセージを返した。
心が柔らかくなるのを感じながら、スマホを眺めていると、突如、着信音が鳴った。
突然のけたたましい音に驚きながらも、切り替わったディスプレイ画面を見て、また心臓が止まりそうになった。
「着信 篠宮壱哉」
え?!
え、え、え?!
今は、23時。
こんな夜に電話して来た事なんてないし、今日は長谷部君たちと一緒にいると言ってたけど…、何?!
もしかして、明日都合悪くなったとか……?!
一瞬で色んな事が頭を過ぎり、心臓がバクバクと音をたてているのを落ち着かせながら、冷静に通話ボタンを押した。
「もしもし」
『なっちゃーん、俺』
軽っ!!!
ガクッと肩透かしにあったような感覚になる。
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