私だけを見て

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何を言い出すの?! ちょっと待ってよ……。 冗談なのか、本気なのか分からない!! 「何でそうなるのよ」 『何でって、言っただろ? 会いたいからって』 うわーーーーっ!! 思わず手で口を覆ってしまう。 呼吸が乱れて、過呼吸になりそう! ガラにもなく「私も今すぐ会いたい」なんて口走ってしまいそうになる。 『ダメ?』 やっぱりアンタは人を思いのままに操る天才だね。 そんなに可愛く、好きな男から甘えられて断れる女がいるだろうか。 片手はスマホ、片手は胸に当て、大きく深呼吸する。 「……どーぞ」 『じゃあ、後で連絡する』 篠宮は「バイバーイ」なんてやっぱりテンションが高くて、反対に私は終始色んな意味で戸惑ったままだった。 いや、だけど…お酒が入った時、本音が出るというならば嬉しい。 私に会いたいと思ってくれた事が、単純に嬉しい。 もう、今日好きだって言っちゃおうか。 いや、だけど覚えてないって言われたら困るからダメか……。 あんなに酔っ払ってるなんて、本当に珍しい。 いつもスマートな篠宮なのに…可愛い。 ベッドにうつ伏せになり、幸せな高揚感に思わず足をバタバタさせた。
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