私だけを見て

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掃除をしたり、鏡を見たり。 常に携帯を手に持って、ずっとソワソワしたまま。 あんなに酔ってるけど、明日の約束は元より、まず仕事に行けるんだろうか…。 ホント、しょうがないヤツ。 ──会いたくなって。 呆れてはいるのに、さっきの篠宮の言葉が頭の中をぐるぐる回っていて、顔は緩んだまま。 篠宮が私を思ってくれてるって、自信を持ちたい。 恋愛をしない訳じゃないって前に言ってたし、私にも可能性があるよね? この間の夜は、自分の弱さから嘘をついてしまったけど、本当は篠宮の事が好きだって…ちゃんと言わなきゃ。 待っている時間はとても長く感じるもので、チラリと時計に目をやる。 電話がかかってきてから、1時間半。 篠宮の事ばかりを考えながら待っていたのに、まだ連絡は無い。 ……いやいや、遅すぎるよね。 もう1時になるよ? スマホとにらめっこをしながら、はぁっと溜息を漏らす。 まさか、どっかでぶっ倒れてるんじゃないでしょうね? もしくは、まさか充電無くなったとか…? アイツ、家覚えてるのかな? 心配になって篠宮に電話をかけると、プルルルと呼び出し音が鳴ったので、とりあえずホッとした。 『──もしもし』 ドクン──と、心臓が不穏な音をたてた。 電話から聞こえてきた声が想像していたものとは違って、頭が真っ白になる。 誰なの……? どうして女の人が、篠宮の電話に出るの?
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