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朝からスマホが鳴ってる。
ほとんど眠れずに、働かない頭でも、何となくかけてくる相手は分かっていた。
『着信 篠宮壱哉』
……ほらね。やっぱり。
スマホを手に取るも、通話ボタンを押せずに躊躇っていると、手のひらの中で着信音は止まった。
目覚めた時、この人はどんな状況だったんだろう。
誰と一緒にいて、何を思って、私に何を言うつもりなんだろう。
そして私は……。
どうしようか。
まだうまく考えがまとまらない。
重い体を起こしたものの、動く気にならずにベッドの上で大きな溜息をつく。
仕事…行きたくないなぁ…。
頭を抱えるように髪の毛を掻き上げると、ピコンと、メッセージを受信した音がした。
『昨日は本当にごめん。
詳しい事は夜話すから、来てほしい』
メッセージを見て、またジワッと涙が浮かんで来た。
今日をこんな気持ちで迎えるなんて、思ってもみなかった。
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