嘘だらけの恋

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「今日はよろしくお願いしまぁす!」 可愛い声が、よりによって今日はやけに耳障り。 「有村さん、本日はよろしくお願いします」 あぁ……会いたくなかった…。 有村さんを見ると、更に情緒不安定になりそう。 だけどそんな顔絶対に見せられない。 笑顔で挨拶をすると、有村さんもいつものように可愛い笑顔を振りまく。 「及川さん!先日は偶然でしたね」 「あ…はい。お会いして驚きました」 有村さんから篠宮と一緒にいた日の事をふられ、バツが悪い。 ニコニコしているけれど、なんだか目の奥が笑っていないようで。 「それでは簡単に打ち合わせをさせて頂いてよろしいですか?」 「はい、よろしくお願いします」 あまり深くも突っ込まれたくないから、撮影チームも呼んで打ち合わせを始めると告げた。 有村さんの持っている華やかさと、可愛らしさからだろう。 周りの空気は緩み、和やかに打ち合わせが進む。 「メイクの準備が出来たらご案内しますので、その間再度商品説明をさせて頂きますね」 「はい。よろしくお願いします」 みんながバタバタと撮影準備を行っている間、有村さんへコンセプトや伝えてほしい事など、新商品"ジュエルライン"の魅力をツラツラと並べる。 「ご質問はありませんか?」 「商品の質問はないんですけど」 え? 予想外の返答に間抜けな顔をしていただろう。 そんな私と目が合うと、有村さんはニコッと笑った。 「もしかして壱哉君と、及川さんって付き合ってます?」 周りに聞こえないように、コソッと聞かれた。
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