嘘だらけの恋

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「いいえ、まさか」 両手を振りながら、慌てて否定する。 口に出しながら、恋人ではないという事実が、また私を虚しくさせる。 「この間、仲良さそうに見えたので」 「篠宮も言ってましたけど、あれは仕事の打ち合わせで。ちなみに私達も同期なんですよ」 「そうなんですね…」 有村さんが、急にいつもと違う表情をする。 いつもニコニコしてるのに、笑顔は消えて、その目からは棘さえ感じる。 「私も壱哉君と一緒に食事に行ったりしてるんですけど、おつきあいしてるなら申し訳ないと思って」 私の反応を伺うように、じっと見られる。 そうなんだ…。 そんな事、一言も言わなかったな。 ………言う義務も無いんだけど。 「違いますから」 顔には出さない、絶対に。 有村さんの言葉に傷ついても。 笑って否定すると、有村さんもいつものように表情を緩める。 「良かったぁ。この間お二人にお会いした時も、結局壱哉君来なかったし、何かあるのかと思って疑っちゃいました」 両手を合わせて「ごめんなさーい」なんて、可愛く謝られた。 ハハ…っと、乾いた笑いが出る。 もう、メンタルがボロボロだ。 昨日といい、今日といい、こうやって女の影がチラつく度に、私の心はぎゅうっと締めつけられて痛い。
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