嘘だらけの恋

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小さい有村さんは、上目遣いでじっと私を見上げている。 "会いたいから"って……。 ああ、そう……。 やっぱり、誰にでも言うんだ。 酔った時って本音が出るから、篠宮の本心だったらいいな…なんて、勝手に期待してしまった。 私だけに言ってたわけじゃないのに、一人で舞い上がって、篠宮が来るのを待ってたなんて、なんて哀れなんだろう。 こんなにもショックは大きいのに、取り乱せるはずもなく、自分の馬鹿さ加減に呆れて笑いが出る。 「…実は、篠宮から酔っぱらって電話がかかってきてたんです。あんなに酔ってるのは初めてだったので、ちゃんと帰ったのか心配だったんですけど……心配なかったですね」 「はい」 ニコッと余裕たっぷりに、少し首を傾げて微笑む有村さん。 もう、打ちのめされて頭がうまく働かない。 だけど、傷ついてないふりをしなきゃ。 「邪魔してしまったみたいで、すみません」 「いいんです。 私こそつい不安になっちゃって、すみません。壱哉君、モテるから心配なんです」 心が必死に、これ以上壊れるのを防ごうとしてるのに、有村さんは喋り続ける。 「でも。昨日すごく可愛かったんですよー」 「…え?」 「見ます?寝顔。こっそり写メ撮ったんです」 幸せそうな笑顔で、有村さんがスマホをタップする。 ──やだっ…! 私が反応するより早く、有村さんがディスプレイを向ける。 そこには、シャツのままでベッドに眠る篠宮が写っていた。
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