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確かに昨日、この水色のシャツを着てた…。
有村さんが一緒にいたという決定的な証拠を突きつけられて、呆然としてしまう。
こんなの見せられて、どうしたらいいのよ。
息が出来ないくらい苦しい。
だけど泣いたり、怒ったり、取り乱したり、絶対にしない。
私は、プライドだけは高いから。
「いい大人が、泥酔するなんて。どうしようもないヤツですね」
ハハッ…と、精一杯の笑顔を作った。
有村さんが「そうですよねー。今朝、私も壱哉君を叱りました!」なんて、無邪気に答える。
「あ。写メ見せた事、ヒミツにして下さいねー。壱哉君に怒られちゃう!」
ウフフとスマホで口元を隠して、有村さんが笑う。
私は今、うまく笑えているのかな。
もしかしたら、泣きそうな顔で笑ってるのかもしれない。
篠宮のバカ、クズ。
あんたの事で、絶対に泣かない。
泣いてたまるもんか。
「有村さん、お待たせしました!
そしたらメイク入りましょうか」
「はーい!よろしくお願いします」
ちょうどメイク担当が呼びに来た為、有村さんはペコリと会釈して歩いていく。
「すみません、ちょっと寝不足でお肌の調子が悪いかも…」
「えー、何してたんですか?」
「うふふ、ヒミツですー」
離れて行く有村さん達の会話が聞こえて来て、また色んな事を想像させる。
思わず、撮影ルームの外へと飛び出してしまった。
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