嘘だらけの恋

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私はただ不安を消したいだけなのに、どんどん疑心暗鬼になっていく。 電話から有村さんの声がした。 何処なのかは分からないけれど、ベッドで眠る篠宮の写真もあった。 だから、有村さんといた事は事実なのに。 「…じゃあ、篠宮は1人で家で寝たの?」 馬鹿げてる質問だと思う。 だけど、篠宮が言うように泥酔してたのなら、記憶がないのかもしれない。 須田君達が送った時に、もしかして有村さんも一緒にいて、部屋に入ったのかもしれない。 それに、会社のメンバーと飲んでたんだから、私が誰かに聞けば嘘か本当かすぐに分かる話だ。 そんな見え透いた嘘を、つくとは思えない。 だけどいくら記憶が無くても、今朝の記憶はあるでしょ? 目覚めた時に、一緒にいたんじゃないの? どんな状況で、そうなったの? ちゃんと説明してくれたのなら私は──。 「うん」 篠宮は表情も変えず、平然と言った。 あぁ、そう……。 そうなんだ。 篠宮を信じたいという気持ちが確実に壊れるのを感じながら、ハハッ…と力なく笑った。 嘘つき──。 「昨日は行けなくて、本当にごめん」 篠宮は心から謝っているように見える。 1人じゃなかったでしょ? やましい事だったから、言えないんでしょ。 問い詰める権利もないくせに、嘘はついてほしくないなんて思ってる私がバカだった。
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