嘘だらけの恋

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私の言葉に、篠宮の表情が固まる。 「は?」 「本人から聞いた」 「何て?」 「だから、篠宮に会いたいって呼ばれて一緒に帰ったって。ご丁寧に篠宮が寝てる写メも見せてくれたよ」 どんな答えが返ってくるのか怖くて、思わず膝にかけているナプキンをぎゅっと握った。 「マジで…」 篠宮は目を丸くして、唖然としてる。 あぁ、そう……。 否定しないんだ。 バレると思ってなかった? 篠宮の反応に、ハハッ…と乾いた笑いが出る。 「酔って誰にでも電話しちゃダメでしょ。もっとうまくやりなよー」 「俺、お前にしか電話してないんだけど」 「いいよ、別に言い訳なんかしなくても。そんな関係じゃないんだし」 思わず突っぱねると、篠宮の表情が更に強張る。 「じゃあ、携帯見たら? 発信履歴見れば分かるだろ?」 声が、明らかに怒ってる。 不機嫌そうにテーブルの上にスマホを出すと、スッと私の方へ滑らせる。 「…昨日、私が電話した事も履歴にあるでしょ?確認した?」 「1時前の?」 「うん」 「それは………ごめん。 本当に記憶が無くて、その時何を話したのか覚えてない」 「そうだよね。アンタと話してないもん」 え?と、篠宮が怪訝な顔で私を見る。 「有村さんが出たよ」 「は………?」 「だから、一緒に篠宮の家にいたんでしょ?」 ぐっ…と、篠宮が言葉に詰まるのがあからさまに分かって、私の心はまた掻き乱される。
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