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午後。
先日発売された新商品のハッシュタグイベントをSNSで行っている為、デジタルマーケティング部へ杏璃ちゃんと向かった。
「ハッシュタグイベントは好調ですよ〜」
「ほんとですか?」
担当者の佐々木さんの言葉に、杏璃ちゃんがキャッと両手を合わせる。
今の時代、SNSプロモーションは無くてはならない手段。
『SNSの広告がきっかけで商品ページやブランドサイトを見た経験がある』と答えた女性は8割近くというデータがあるくらい、特にGENICのターゲット層はSNSは必須で、デジタルマーケティング部と連携を取りながら、毎回色んな形でチャレンジしている。
「口コミも良かったですよ。人気はやっぱり6番と7番ですね」
「普段使いしやすい色ですからね」
担当者にヒアリングしながら、今後のプロモーションについても打ち合わせをしていると、1時間があっという間に過ぎた。
「またデータ分析して、及川さんへフィードバック送ります」
「お願いします」
デジタルマーケティング部を出ると、杏璃ちゃんは今にもスキップしそうな勢いで廊下を歩く。
「嬉しいなぁ!私も自分のスマホで見てましたけど、ジェニーの影響も大きくて、SNSでも反響ありまくりですよね!
今回のプロモーションはインパクトありますもん!」
そういえば、篠宮にも良かったって言われたっけ…。
──じゃあ口止め料として、俺の言う事聞いてくれる?
ボンッと篠宮のイジワルな顔が浮かんで、弱みを握られてしまった事に頭を抱えそうになる。
連絡先も知らないし、仕事で関わる事もないから、どうかこのまま遭遇しないのを願うのみだ。
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