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「失恋した人の気持ち?
惨めで悲しくて、何がいけなかったとか、あーすれば良かったとか、どうにもならない事を延々に繰り返して、相手の事も責めて、自分の事も責めて醜い感情だらけで!
夜は色んな思い出に襲われて孤独になって、また戻れないかと願って、諦めたいのに諦めきれなくて……苦しくて。
そんな虚しい気持ちになるのよ、人は!
分かった?!」
感情のままに、まくし立てた。
篠宮は表情も変えずに、そんな私をじーっと見ている。
あぁ……やってしまった…。
心の中を見せたくなかったのに。
惨めな気持ちを、晒したくなんてなかったのに。
怒りに任せて口に出してしまった事で、自分の感情がよりリアルになってしまった。
篠宮の前で、絶対に泣きたくなんかない。
泣きたくないのに「誰かに縋りたい」って思う自分もいる。
吐き出せなくて、自分の中だけでぐるぐる彷徨って。
苦しくって………。
喉に熱いものが込み上げてきて、ゴクンと飲み込むと痛い。
これは………ヤバいやつだ。
「………最悪」
頬に生ぬるい感覚が伝っていく。
敗北感に苛まれ、力なくイスに座り涙を拭う。
強がってる割には、いつまでもウジウジと未練たらしい女だって思ってるんだろうな。
かっこ悪くて、惨めで、情けない。
「いい加減、どうにもならなくなるまで我慢する癖やめたら?」
揶揄われると思ってきたのに、俯いたままの私に落ちてきたのは、篠宮の溜息交じりの声だった。
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