失恋した人の気持ち

22/24

4315人が本棚に入れています
本棚に追加
/283ページ
「ありのままに話してみたら何か変わるかな…」 「やってみたら?」 篠宮が口角を上げる。 心のままに……か。 かっこ悪い所見られちゃったし、もう強がらなくてもいいか。 きっと、そんな夜があってもいいよね。 「少し期待してたんだ…。 すぐ別れて私の所へ戻って来るかもしれないって。 だけど日に日に現実を思い知らされる」 自分の愚かさを嘲笑うと、しんみりした空気が流れた。  さすがの篠宮も、気まずそうだ。 「これだけは分かるけど、あの2人は幸せの絶頂だぞ」 「言わないでーーっ!!!」 慰めるどころか、傷を抉られる。 ちょっと、思ってたのと違うんですけど! 「別れるって、この世の終わりくらい辛いの…」 「そうなんだ」 「更に若くて可愛い子に彼氏を奪われて、ただでさえ惨めなのに、同情という哀れみまで付いてきて…!」 もう、飲まなきゃやってらんねー。 グビグビとワインを飲み干すと、ガンッとテーブルに置いた。 「私なりにね、頑張ってきたんだけど、愛されなかった……」 江名という存在にプライドをズタズタにされて、自分には何の魅力もないように思えてくる。 「未練タラタラですね」 「うっさいわ!!すみませーん!ワインおかわり下さーい」 容赦なく傷口に塩をすり込みまくる篠宮に対して、言葉が乱暴になったにも関わらず 「クールビューティーな及川さんがこんなに口が悪くて、諦めも悪いなんて」 と、頬杖をついたままハハッと笑われた。
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4315人が本棚に入れています
本棚に追加