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「ありのままに話してみたら何か変わるかな…」
「やってみたら?」
篠宮が口角を上げる。
心のままに……か。
かっこ悪い所見られちゃったし、もう強がらなくてもいいか。
きっと、そんな夜があってもいいよね。
「少し期待してたんだ…。
すぐ別れて私の所へ戻って来るかもしれないって。
だけど日に日に現実を思い知らされる」
自分の愚かさを嘲笑うと、しんみりした空気が流れた。
さすがの篠宮も、気まずそうだ。
「これだけは分かるけど、あの2人は幸せの絶頂だぞ」
「言わないでーーっ!!!」
慰めるどころか、傷を抉られる。
ちょっと、思ってたのと違うんですけど!
「別れるって、この世の終わりくらい辛いの…」
「そうなんだ」
「更に若くて可愛い子に彼氏を奪われて、ただでさえ惨めなのに、同情という哀れみまで付いてきて…!」
もう、飲まなきゃやってらんねー。
グビグビとワインを飲み干すと、ガンッとテーブルに置いた。
「私なりにね、頑張ってきたんだけど、愛されなかった……」
江名という存在にプライドをズタズタにされて、自分には何の魅力もないように思えてくる。
「未練タラタラですね」
「うっさいわ!!すみませーん!ワインおかわり下さーい」
容赦なく傷口に塩をすり込みまくる篠宮に対して、言葉が乱暴になったにも関わらず
「クールビューティーな及川さんがこんなに口が悪くて、諦めも悪いなんて」
と、頬杖をついたままハハッと笑われた。
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