女帝の格言

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「今回もいいもの頼むわよ! ナテュールは肩肘張ってない感じがいつも好きなの。開放感がテーマだよね?」 「はい。 世の中、色んなものに縛られすぎてる人が多いですからね。"年だから"とか"常識だから"とか"他人の目"とか」 関谷さんと話しているはずなのに、私の方を見て意味深に口角を上げる篠宮。 笑顔を貼り付けたまま 「余計な事言うなよ!!」と念を送る。 絶対に今、目が笑ってないわ。 「そうよね。世の女性達に刺さるメッセージと商品の良さを全面に出してね!よろしく!」 「大丈夫ですよ、俺ですから」 「アハハ!期待してるわよー」 ったく、自信家なんだから。 篠宮が生意気な口を聞いても、関谷さんはケラケラ笑う。 「それでは」と言って去って行く篠宮に、引きつり気味の微笑みで軽く会釈した。 篠宮と会って緊張する事などなかったのに、妙に手に汗握ってしまった。 とりあえず、何も暴露されなくて良かったとホッとする。 「及川と篠宮って同期だよね」 座り直すと、関谷さんに問いかけられる。 「はい。1年だけ同じ部署に配属されましけど、そんなに話す仲でもないですよ」 「ま、そんなものか」 ええ、まぁ…これは本当です。 ただ、諸事情があり若干距離が近くなりましたが。 「私、篠宮みたいなタイプ好きなのよねー」 「えっ…?」 「何そのしかめっ面。仕事の話しよ」 「あぁ、仕事でしたか。 篠宮は仕事に対しては努力家って事は、私も認めてます」 篠宮の後ろ姿を見ながら、昔の事を思い出す。
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