4316人が本棚に入れています
本棚に追加
/283ページ
「こないだはありがとう」
さっきは言えなかったけど、小声で微笑んだ。
「いい夜だったねー。
及川さんの裏側も見れたし」
まだ私の弱みを握っている篠宮は「ね?」っと意地悪な顔をして笑う。
……………弱み?
──及川が弱さを見せる事が出来るなんて、心を開いてる証拠でしょ?
いやいや、違いますよ。関谷さん。
泣いてしまったのは、罠にかかったから。
この人は下剤ですよ、下剤!
さっきの関谷さんの言葉がなぜか浮かび、1人ツッコミをして納得した。
だって篠宮は"鎮痛剤"とは別ジャンルだから、関谷さんの言う意味合いとは少し違うはずだ。
「お陰様で元気になりました」
「うわ、さすが。クールだね〜」
「職場なんだから当たり前でしょ!
わざわざからかいに来たの?っていうか打ち合わせは?」
ニッコリ余裕の微笑みを作ったのも束の間。
小馬鹿にされたから、つい詰め寄った。
「少しだけ席外すって断り入れてきた。
連絡先教えて?」
えぇ?
それだけの為に来たの?
わざわざ、私の連絡先を知る為に?
どうして……
「口止め料思いついた時に連絡できないだろ?それとも内線で電話しようか?こないだ号泣した件で…」
「分かったわよ!」
ちっ!
またからかわれた!
ニコッと可愛く笑うけれど、発言は全く可愛くない。
悪徳業者にしか見えなくなってきた。
最初のコメントを投稿しよう!