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「だけど…新商品の分析結果は明日でいいよ。まだ他にやる事あるの?」
聡君がパソコンを覗き込む事で、距離が近くなる。
「今日の会議でも思ったんですけど、40代~50代の購入者が増えてきてるじゃないですか?」
「あぁ、そうだね」
「GENICのメインターゲットは20~30代ですけれど、新しい市場を開拓をしてみてもいいのではないかと思いまして」
聡君が「ふむ」と顎に手を置く。
「そうだね。新しい価値観を生み出して、提供する事は素晴らしい事だよね」
私は、聡君のこういう所が好きだ。
いつもチャレンジする心を大事にしてくれる。
「フフッ」
「何?」
「新しい価値観を生み出す。
課長がいつも言うこの言葉、私好きなんです」
「そう?ウザくない?」
聡君が心配そうな顔で私を見るから、また笑ってしまった。
いつもと違ったメイクをすれば、新しい自分に出会える。
新しい美しさ。
新しいライフスタイル。
フィールの商品で、お客様に小さな幸せを与えられると信じて、私達は仕事をしている。
「具体的に、どう考えてるの?」
隣の杏璃ちゃんのイスに座り、お互い向き合う形となる。
仕事だと、こんなに思っている事を伝える事ができるのにな。
GENICの未来を真剣に語り合う私達には、温度差も、距離もない。
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