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「ちょっと飲みに行きたい気分だったの!」
隠してもしょうがないので正直に打ち明けると、篠宮は「ふーん」と何かを察知したようでニヤリと笑った。
「また樋口さんに傷つけられたのねー。よしよし」
聡君とはまた違う大きな手で、頭をぐりぐりと撫でられた。
「子供扱いしないでよ!」
篠宮はアハハと笑うと、スマホをタッチして耳に当てた。
「もしもし?
ごめん。今日都合悪くなって。また今度でいい?」
な、何ー?!
もしかして約束相手に電話してるの?!
両手をクロスしてバツを作り「断らなくていい!」と必死に訴えるも「ごめんね、じゃあね」と、あっさりと約束を断った。
「口止め料+貸しイチな」
ニヤッと悪魔の微笑みを向けられた。
「細かい男だな…」
「おい。言うべき事が違うだろ」
結局、聡君の事を色々と話せるのは文香かコイツくらいで。
「……ありがとう」
背の高い篠宮を目線だけで見上げると、満足そうな顔をして笑った。
淋しさから成り行きで変な事になってしまったけれど…。
ごめんね。篠宮のお相手さん!!
今日だけは、篠宮を貸して下さい…。
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