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『明日19時30分、社員駐車場に来いよ。よろしく』
昨日の夜。
篠宮から初めてメッセージが送られて来た。
『口止め料の件ね』
と、更に短いメッセージが追加で送られてきて、"断る選択肢などない"という圧を感じる。
そして本日、金曜日。
朝から妙に、落ち着かない。
「及川さん。ちょっといい?」
「はい」
聡君に呼ばれて、課長席まで行く。
一緒に残業をして、江名と遭遇した翌日も普通に私の話を聞いてくれ、企画書を見てくれた。
表面上、"いつも通り"を続けている私達は、悲しいかな何の変化もない。
「次の新商品プロモーションだけど。
メイクアップアーティストのコラボと、インフルエンサーを起用する件」
「はい」
「調整進んでる?」
「メイクアップアーティストは打診中で
インフルエンサーは候補をピックアップしてます」
「月曜日には出せる?」
「確認します」
時間は待ってはくれず、毎日流れていく。
篠宮が言うように、変わる時が来るのだろうか。
最近、眼鏡を掛け始めた聡君を見ながら、心の中で思った。
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