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「なっちゃんって…私?」
「菜月だから、なっちゃんて呼ばれてたのかなーって」
「そうだけど…だから何?!」
「アハハ。クールな及川さんが顔が赤くなって、可愛いとこあるじゃん」
くっ……!!
バカにされてる!!
なっちゃんなんて呼ばれたのは、16歳の初々しい時に出来た彼氏以来だわ!
「恋人同士が苗字で呼び合うのもおかしいだろ?」
当然のように言う篠宮。
私がおかしいのかと思えてくるから不思議だ。
いやいや、落ち着いて私。
篠宮のペースに乗せられては、また思いのままに操られてしまうだけだ。
ここは冷静に。
「カップル限定って言っても、単なる男女で行けばいいだけのイベントでしょ?」
「そうだね」
「じゃあ、そこまでしなくていいでしょ」
想像の斜め上の事を言う篠宮に対して、腕を組んだまま淡々と切り返す。
ちょうど信号が赤になり、ゆっくりと車はスピードを落とす。
「じゃ、俺の事も名前で呼んでみて」
「まさかの無視?!人の話し聞いてる?」
勢い良く篠宮の方へ顔を向けると、ずいっとアームレストに重心をかけ、体を寄せて来た。
「お前に選択肢ないだろ?」
出たーっ!!
ある意味、殺し文句!
絶対にわざと艶っぽい顔で笑って、甘い声で言ってる!!
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