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ランウェイは男女2人のモデルが並んで歩いて行く。
柄やカラーで揃えたコーディネートもあれば、全く違ったものを着ているけれど、不思議とマッチしているものもある。
カッコよくクールに歩くモデルもいれば、腕を組んで寄り添い合ったり、笑いあったり、服とヘアメイクに合わせて雰囲気を変えていた。
「今日のモデル達もカップル仕様なんだって」
「面白いね」
「だろ?メンズとレディース両方見られて、ヘアメイクもバリエーション豊富だからいいと思って」
ランウェイを見ながら話す篠宮の横顔は、やっぱり子供みたいで、また違った一面を見つけたような気持ちになった。
……仕事が好きなんだよね。
心の中でクスッと笑いながらステージを見つめていると、「これもいいな」「あれもいいな」と、次々とインスピレーションが浮かんでくる。
弾けた音楽には乗れないけれど、緩やかな波に乗るように浮かぶ閃き。
この世が終わったような憂鬱な日々の中で、華やかなメイクやファッションを久しぶりに目の当たりにして、落ちていた気持ちが上がる瞬間だった。
こんな気持ちに、なれなかった。
ずっと、立ち止まったままで。
赤いレッドカーペットが引かれたランウェイ。
モデル達はカラフルなファンションで、カラフルなメイクをして歩く。
過ぎていくのに、きらびやかな残像がこびりついて離れない。
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