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「「げ!!」」
2人で慌てて室内へと戻る。
「うわー、ちょっと濡れちゃった!」
「外へ出てないのに、なんで濡れてんだって話しになるぞ」
要は屋上でサボってるのバレますよ、と篠宮は言いたいらしい。
ハンカチを取り出し服や髪についた雫を落としていると、篠宮も手で払っていたから拭いてあげた。
「…ハンカチ持ってないの?」
「持つかよ」
距離が近くなったせいで、篠宮の甘くて爽やかな香りが鼻を掠めた。
なんの香水使ってんだろ。
「髪の毛拭いてあげるから、頭下げてよ」
「ん」
素直に従う篠宮が珍しすぎて、心の中では小さく感動していた。
まるで、犬を手懐けたみたい!
サラサラの黒い髪の毛を拭いていると、さらに距離が近くなって、変に意識してしまう。
この人との距離感が、いまいち掴めない。
「拭けたよ」
「どーも」
私の身長に合わせた状態で、顔を上げるもんだから、上目遣いで笑う篠宮と目が合ってしまいドキッとする。
くそっ!きっと女の私より可愛いわ…
あざとい…。
「じゃ、俺戻るわ」
「あんた、本当に何しに来たの…」
「知りたい?それじゃあ」
「知らなくていい!またね!」
また何か突拍子もない事を言い出しそうで、強制的に遮ると、篠宮は「また明日ー」と手を上げてエレベーターに乗った。
………変なヤツ。
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