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次の日。
緩く髪の毛を纏めて、黒いハイネックのノースリーブワンピースを着た私は、少し早く会場入りした。
このフォーマルワンピは、タイトスカートで縦長のシンプルなラインだけど、いやらしくなりすぎない程度に背中が開いたバックデザインが気に入っている。
普段のメイクでラメはつけないけれど、こういう華やかな日は瞼の上に少しだけラメを乗せて、強めのローズ系のリップを塗った。
私は、ヌーディーなメイクも好きだけれど、口元にインパクトを持ってくるメイクが結構好きだったりする。
赤いカーペットに、眩しいほどのシャンデリア。
絵に描いたような豪華絢爛なホールへ入るなり、重役達に遭遇しまくりで挨拶をする。
ハハ、頬疲れるー。
会場を見渡しながら、いつものビジネスモードで笑顔を貼り付けているけれど、篠宮が嫌がる理由が分かる。
文香は難を逃れたと言ってたし、杏璃ちゃんはアテンドだと言ってたし、篠宮の姿もまだ見えない。
聡君は今日はスリーピーススーツを着ていて、いつもにも増して大人の色気がダダ漏れだ。
はぁ……。
目で追ってしまう自分が嫌になる。
「及川!及川!」
名前を呼ばれ振り返ると、関谷さんが満面の笑みで立っていた。
今日は赤いワンピースに、大きなイヤリングをつけて、いつもにも増して華やかだ。
「こちら、うちがお世話になってるコンサルティング会社社長の、村井さん」
関谷さんの隣には、40代くらいの"自分に自信のあります!"と顔に書いてある、オシャレでダンディな男性がニコリと笑った。
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