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暦上は春なのに、まだ冷たい風は容赦なく私を打ち付け、長い髪の毛が顔にバサバサと纏わり付く。
あぁっ、うっとうしい!
何もかも私に辛く当たっている気がする。
どこまで厳しいんだ、生きるって事は。
「ハハ……笑えないわ…」
だいたいさ、仕事上仕方ないとしても、もう少し配慮するのが大人ってもんじゃないの?
幸せの絶頂かもしれませんけどね!
神経図太いんだよ!!!
江名も、キャピキャピするな!!
聡君こそ、いい歳してバカじゃないの?!
ヘラヘラ笑っちゃってさ!
お前こそ、1番配慮しろよ!!!!
……………苦痛を通り越して、だんだん怒りが込み上げてきた。
フラれてただでさえ辛いのに、あのバカップルのせいで他人に笑いものにされて、なんで私が死にたいとまで打ちのめされなきゃいけないの!!
ふ ざ け ん な ! !
「お前らが死ねーーっ!!バーーカ!!」
思わず立ち上がり防止柵を掴むと、溜まりに溜まったストレスを、立ち並ぶビルへと向かって叫んだ。
また風はビュウっと吹いて、私の虚しい悲鳴を連れ去って行く。
「クールビューティーな及川さんに、
こんな一面がねー」
…………………え?
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