パーティーの夜

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「………」 「………」 篠宮と2人にされると気まずい空気が漂う。 「行くの?食事」 「どうだろ……」 そんなに乗り気でもないから、曖昧な返事をしたら、また沈黙が流れた。 いやいや。 さっきみたいに、何か冗談言ってよ! 謎の居心地の悪い空気に耐えきれず、チラリと篠宮の方を見ると「鎮痛剤ねぇ…」と何か言いたげにこっちを見る。 うっ!きた! "俺の事、利用してる?"とでも言いたいのだろうか。 結果的にそうなってるけど…。 確かに篠宮を利用してしまった所はあるけれど、そこは突かれたくない所! なんだろう。 なんだか恥ずかしい。 だって関谷さんが言ってる定義だと、恋愛に発展する事を指すのだ。 じっと見下ろされる視線が、突き刺さるよう。 「そろそろ時間だね。 じゃあ、私行くから」 動揺を隠して微笑むと、篠宮から逃げるように背を向けた。 …………。 あの男にバレてはいけない。 イケメン。 楽しい会話。 ときめき。 この三つを兼ね備えた篠宮に癒やされた事。 特にこの"ときめき"だけは、絶対に言えない。
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