パーティーの夜

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「菜月……?」 思わず、抱きついてしまった。 聡君に触れられた瞬間、スイッチが入ったように理性が音をたてて崩れた。 バラバラ、バラバラと崩れ落ちる。 ガラスの破片のように砕けた理性は、感情という渦に飲み込まれて止められなかった。 「どうした?具合悪い…?」 聡君の胸の中で、フルフルと頭を横に振る。 止めようと思っても、やっぱりここに戻される。 忘れたいと無理矢理気持ちに蓋をしても、いざ目の前にするといとも簡単に溢れだす。 人の心なんて、こんなにも脆い。 「……聡君。 もう、戻れない?」 泣くことなんてしなかったのに。 別れた後に泣いて縋りつく私は、なんて滑稽なんだろう。 だけどもう、限界。 心が、限界なの。 聡君の首に腕を回したまま、言葉にできない思いがとめどなく駆け巡る。 私の事を受け止めて──。 祈るような気持ちでぎゅっとしがみついた 腕を、聡君はゆっくりと解いた。
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