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「さやかって、何人きょうだい?」
そう聞かれるたびに、私はぎゅっと心臓が締め付けられて、涙が出そうになる。
何年経っても慣れるもんじゃない。
「一人っ子だよ」
無理矢理笑顔を作ってそう答える。
この質問は、新学期に入って少し仲良くなった頃に交わされるやりとり。
私はそのたびに嘘をついて、お姉ちゃんを何度も「殺す」。
相手だって悪気があるわけじゃないから、余計に苦しい。
「そっちは?何人きょうだい?」
最近はこんな小ワザも使えるようになった。すぐに話題を相手に変えてしまう。
相手だって、自分の話がしたいんだから、聞かれたら自然に喋りだす。
それでも最初はバカ正直に、「お姉ちゃんがいたけど、亡くなったんだ」とも言っていたけど、言うだけで泣きそうになるし、空気も重くなるから止めた。
「このくらいの嘘」きっとみんな、つきながら生きてる。
本当は、苦しくて仕方がない。
だって、お姉ちゃんの存在を消してしまうんだから。
「私には、12離れたお姉ちゃんがいてね。きれいでね、優しいんだ」
本当は、そう言ってやりたい。
いつもそう思いながら、苦し紛れの嘘をつく。
それが、私の日常。
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