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お姉ちゃんが危篤だ。
そう伝えられたのは、秋の日の午後だった。
これからドッヂボール大会…という時で、教室で体操服に着替えようとしていた私は、慌てた数人の先生に呼ばれた。
私はすごい形相をした担任に手を引かれ、職員室に連れて行かれて、
「すぐに帰りなさい」
と、言われた。
誰かが持ってきてくれた、空っぽに近いランドセルを持ってタクシーに乗せられた。担任の顔なんて覚えていないけど、ぶるぶると震えていたその手を覚えている。
家に帰ると、親戚が集まっていて、暗い顔をしていた。
そこからどうやって病院に行ったのかなんて覚えてない。
気づいたら、集中治療室の中に呼ばれ、沢山の管に繋がれたお姉ちゃんがそこにいた。
「子供は入っちゃだめだから」。そう言われて、お見舞いに行くことも禁じられていたから、お姉ちゃんがこんなにも痩せこけて青白い顔をしていたことを知らなかった。
必死にお姉ちゃんの名前を呼ぶお父さんとお母さん。
やがて、お医者さんが必死に心臓マッサージを始めた。でも、もう無駄なんだということが伝わってくる。
「もう…いいです。止めてください。」
お母さんがそう言うと、数人のお医者さんがお姉ちゃんの身体から離れた。
そして、ものすごくあっけなく、お医者さんはその時間を言った。
お母さんやお父さんがあんなにも泣いているのを初めて見た。
それが、小3の秋のことだった。
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