15 turn over a new leaf

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 彼女だった。   思わず笑顔になって、俺はすぐに扉の鍵を開けて彼女を迎えた。 「早かったんだね」 「LINEしたんですよ」 「ごめん。気付かなかった」 「二駅先の現場確認が終わったら、直帰して良いって言われて。家に向かおうとしたら、大樹さんが見えたから、ついノックしちゃいました」  「お疲れ様。忙しかったの?」 「通常業務ですけど、仕上げ段階に入ると毎日現場に行った方が良いので。だから、丸一日休むのが難しいんてす」 「そうなんだ。店舗?それとも自宅?」 「二ヶ所は同じビルにある店舗で、最後のところはご自宅のリフォームです」 「そっか。店舗は行ってみたいな。今度、教えてよ。」  なぜか彼女は顔を赤くした。  首を傾げて彼女を見ると、首まで赤くなってしまった。 「なんだか秘密を見られるみたいで…」 「そんな。仕事でしょ?作品だよ?」 「そうなんですけど、大樹さんには色々見透かされそうで」 「裸にされたみたい?」 「……!」 「喩えだよ。言葉のあや。よく言うでしょ」 「大樹さん、時々言葉遣いが……」 「何?」 「…時々、おじさんっぽい」 「うわっ。三十路にもなってないのに、彼女からおじさん扱い!?」 「だって、少しセクハラまがいというか…。時々ですけど」 「じゃあ、いいや」 「え?」 「たぶん美花さんにしか、言わないから」 「……もぅっ!」  なにやらまた赤くなっているけれど、彼女が落ち着くまで放っておくことにした。  その間にLINEの返信。後で彼女が気付けばいい。  それから、フクシアの花言葉を調べた。 「……あ」 「どうしたんですか?」 「なんでもない。…いや、違うな。嬉しい発見があったから」 「何ですか?」  彼女が、顔をあげて俺を見た。 「美花。…今、呼んでみたくなった。畏れ多いけど」 「私なんて全然、そんな畏れ多いなんて」 「そんなことない。今日、俺の前で不安そうだったり、心配したりしなかっただけで、安心した。俺すげー嬉しい」  彼女は俯きながらも一歩近付いてから、俺の胸に額を付けた。 「不安でしたよ。あの人と話して知った事実で、嫌われないかなって。もういいやって厭きられないかなって」 「誰に?」 「もちろん、大樹さんに」 「ほら。だから嬉しい」 「他に何があるんですか?」 「もう、いいよ」 「逆に、こんなふうに割りきったら…冷たいとか軽いとか、思ってますか?」 「全然」
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