15 turn over a new leaf

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「自分を許せないまま、ずっと過ごすと思っていました。大樹さんが、溶かしてくれたんです。わだかまりも、苛立ちも、不安も。だから、もう前に進めます。繰り返さないために、忘れることはないですけど」 「武田君に、お兄さんと話すように伝えた」 「そうですか」 「その後で、美花さんと話すように言った。俺も同席する。でも、俺が関わるのはそこまで。その後のことは、美花さんが決めて」  もしかしたら、二人は会った方が良いのかもしれない。 「はい。ありがとうございます。そうします」  励ましたいような、ただ待つだけでいいような不思議な感じ。でも、不安はない。彼女を信じられる。彼女の頬に手で触れて、そっと離した。 「さっき、どうしたんですか?『あ』って」 「この花をね、調べたんだ。」 「春にも咲いていましたよね?」 「そう。女王のイヤリングって別名もある」 「ぶら下がる感じがかわいい」 「色の種類も多いんだ」 「おしゃれですね。なんだか」 「おしゃれなだけじゃないよ。花言葉をさっき調べて、知ったんだけど」 「何ですか?」 「信じる愛」 「信じる愛?」 「愛を信じるじゃなくて、信じる愛。すごく、良くない?…ね、美花」  過去の誰かと、張り合う訳でもない。  もう一度彼女の名前を呼んだら、自然に言えた。  彼女の両目に、涙が溢れた。 「ありがとうございます。私を見つけてくれて。好きになってくれて。その上、信じてくれて」  様々な植物が見守るなか、俺達は長く触れるだけのキスをした。 「誓いのキスみたいだ」    俺が言うと、赤い目をした彼女は花が開くようにゆっくり華やかに笑った。 「誓いのキスですよ」  まだ始まったばかり。まだまだ解決しなければいけないことはあるかもしれない。  それでも、大切に育てていこう。  「信じる愛」があるから。       to be continued
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