一幕、尾崎麻衣と言う人物

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 二〇〇一年(平成十三年)、四月。  ファッションや言葉の流行を生み出してきたギャルたち。そんなギャルの道に、一人の女子高生がまた、足を踏み入れた。 「ん、よしっ!」  姿鏡に映った真新しい制服姿の自分を見て、満足げに頷いている彼女。彼女の名を、尾崎麻衣(おざきまい)と言う。  麻衣の学校の制服はブレザーだ。そのブレザーのスカートを膝上に切り、足下にはギャルの象徴である、ルーズソックスをはいている。髪の毛は春休み中に自分でかけたゆるめのパーマで、色も自分で行ったブリーチのせいで所々まだらに金髪になっている。そんな髪の毛をゆるめに二つに縛る。  メイクは目元のメイクにかなり時間をかけて完成した。つけまつげにアイライン、マスカラで、ブラウンのアイシャドウは色白の麻衣に良く映えている。ナチュラルメイクとはいかないものの、幼さの残るその顔に、ギャルメイクが良く似合っていた。 「麻衣ー? 朝食、冷めるわよー?」 「はーい!」  階下から麻衣に声をかけてきたのは母親である。  今日は高校の入学式。激しい受験戦争の後に勝ち取ったこの女子高生と言うポジションに、今日ばかりは気合いが入るというものだ。麻衣は階下へと返事をすると、ぺちゃんこの鞄を持って部屋を出た。
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