一幕、尾崎麻衣と言う人物

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 リビングへ向かうと、新聞を広げていた父親がチラリと麻衣を見て、眉根を寄せた。 「麻衣……、スカートはもう少し長くはならないのか?」 「んー? 切っちゃったから無理!」 「切っちゃったかぁ……」  麻衣の言葉に父親は軽く頭を抱えている。 「姉ちゃん、顔、怖い……」 「雄太(ゆうた)~? そう言うこと言ってると、食べちゃうぞ?」  麻衣は五歳下の弟、雄太へ両手を挙げて、威嚇のポーズをする。 「はいはい、二人とも。じゃれてないで早く食べちゃって」  母親に言われた麻衣は雄太の前の席へと座ると、用意して貰った朝食を食べる。キッチンでは母親がせわしなく動いていた。 (お母さんって、朝から大変なんだなぁ……)  麻衣はそんなことを漠然と思いながら、朝食を平らげていくのだった。
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